アグリビジネス創出フェア2018

2018年11月20日(火)~22日(木)
10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト西1ホール
主催:農林水産省

COMMENDATION 表彰

  • 平成30年度(第19回)
    民間部門農林水産研究開発功績者表彰
  • 平成30年度(第14回)
    若手農林水産研究者表彰

平成30年度(第19回)
民間部門農林水産研究開発功績者表彰

 農林水産業その他関連産業に関する研究開発に関して優れた功績をあげた民間企業や農林漁業者に対して、農林水産大臣賞、農林水産技術会議会長賞、JATAFF会長賞を授与するとともに、農林水産大臣賞受賞者による受賞講演を実施します。

【農林水産大臣賞】

「密苗」栽培技術による田植作業の革新的省力・低コスト化の実現
伊勢村 浩司
土井 邦夫
ヤンマーアグリ株式会社
【左から】伊勢村 浩司 氏、土井 邦夫 氏
澤本 和徳
ヤンマー株式会社
澤本 和徳 氏
佛田 利弘
株式会社ぶった農産
佛田 利弘 氏
濱田 栄治
農事組合法人アグリスターオナガ
濱田 栄治 氏
 水稲の移植栽培において、育苗トレイに稲種子を高密度で播種し、その苗マットを細かく掻き取ることで育苗マット数を削減する「密苗」栽培技術を開発し、田植作業の革新的な省力化、低コスト化を実現しました。本技術は、北海道から九州まで地域を問わず導入されており、作付品種も50種類以上の実績があります。また、更なる取組として、密苗仕様田植機だけでなく、既販田植機向けの「密苗キット」を開発し、日本国内のみならず海外でも普及、実証試験を行っています。

【農林水産技術会議会長賞】(民間企業部門)

作物育種を加速する培養不要で汎用性の高い革新的ゲノム編集技術の開発
濱田 晴康
三木 隆二
田岡 直明
柳楽 洋三
株式会社カネカ
【左から】濱田 晴康 氏、三木 隆二 氏、田岡 直明 氏、柳楽 洋三 氏
 従来の遺伝子導入技術において、長時間を要し、適用拡大の阻害要因となっていた組織培養工程を不要とし、育種プロセスの大幅な簡略化を可能とする遺伝子導入法「インプランタパーティクルボンバードメント(iPB)法」を開発しました。この手法により、これまで遺伝子導入が不可能であった作物において、ゲノム編集技術の適用を可能とし、コムギ、ダイズ、トウモロコシ等主要作物における有用品種の開発を劇的に加速できることとなりました。
肉用牛産肉形質のゲノミック評価技術及び評価実施体制の確立
黒木 一仁
荻野 敦
野﨑 隆義
渡邊 敏夫
一般社団法人家畜改良事業団
【左から】黒木 一仁 氏、荻野 敦 氏、野﨑 隆義 氏、渡邊 敏夫 氏
小野木 章雄
元 一般社団法人家畜改良事業団
小野木 章雄 氏
 従来の遺伝的能力評価法(BLUP法)に一塩基多型(SNP)情報を付加したssGBLUP法を用い、その有効性を検証しつつ、産肉能力のゲノミック評価法の確立を図りました。この評価法は、血液や毛根があればSNP情報が得られることから、手軽に遺伝能力を推定できることや、きょうだい間の能力差を子牛の段階で推定できます。また、肉用牛の育種改良、優良雌牛の選定等において、本評価法を有効活用するための評価実施体制を構築し、育種改良団体や和牛繁殖農家等で広く利用されています。
「花けずりこんぶ」の製造技術の開発と商品化
辻見 重勝
東和食品株式会社
辻見 重勝 氏
 日本の伝統的食品である昆布を、その食材としての能力を十分に発揮し、消費を拡大するために、薄く削り節状の小片に削る技術と製造装置を独自に開発し、世界初の薄肉小片こんぶ「花けずりこんぶ」を製造、商品化に成功しました。また、岩手県宮古産昆布の高付加価値化を目的とした技術開発にも取り組み、製造ラインの高速化や加工に要するコスト削減を実現して販路を拡大し、地元の震災復興にも貢献しました。

【公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会会長賞】

てんさい、たまねぎの安定生産に有用な微生物資材の開発と普及
三口 雅人
十勝農業協同組合連合会
有用微生物資材開発グループ 代表 三口 雅人 氏
 様々な植物の根に共生するアゾスピリラム菌は、窒素固定能と植物ホルモン分泌による根の伸張促進機能を有する土壌微生物であり、このアゾスピリラム菌を混和した微生物資材を開発しました。この資材は、移植作物を対象として育苗期間中に1回、灌水作業と兼ねて施用するだけで生育促進効果が認められるものであり、てんさい、たまねぎでは根量の増加とともに、収量増が可能となりました。今後も、このアゾスピリラム菌を活用した収量の確保や安定化が期待されます。
生物農薬スワルスキーカブリダニを中心とした総合防除技術の普及
山中 聡
アリスタライフサイエンス株式会社
山中 聡 氏
 薬剤抵抗性の発達したアザミウマ類やコナジラミ類を捕食するカブリダニ類に着目して、微小害虫専用生物農薬の国内登録を推進するとともに、これまで総合防除(IPM)技術が構築できなかったピーマン、パプリカ、ナス、キュウリ、カンキツ等の多くの作物で、スワルスキーカブリダニ製剤による密度抑制効果を確認し、化学合成農薬の大幅な使用量削減を達成しました。また、スワルスキーカブリダニ製剤を利用したIPM防除体系は、全国的に見ても施設ピーマンで95%、ナスで70%、キュウリで30%以上の普及面積率に達しており、さらにハウスミカン、花卉類等慣行防除主体の作物へも本剤を利用することでIPM防除体系が波及してきています。

平成30年度(第14回)若手農林水産研究者表彰

 農林水産業その他関連産業に関する研究開発に関して優れた功績をあげた若手研究者に対して、農林水産技術会議会長賞を授与するとともに、受賞者代表による受賞講演を実施します。

キュウリホモプシス根腐病の総合防除対策の確立
岩舘 康哉
岩手県農業研究センター
岩舘 康哉 氏
 露地キュウリ生産に深刻な被害をもたらすホモプシス根腐病に対する効果的な土壌消毒手法や、転炉スラグ(石灰肥料)を活用した新たな被害軽減技術を開発しました。さらに、農業改良普及センターと一体となった現地実証先行型の取組により、総合防除対策の構築と成果普及を迅速に展開し、本病被害の拡大防止と軽減に貢献しました。
野生種を活用した極多収サトウキビ品種の育成と普及
境垣内 岳雄
農研機構 九州沖縄農業研究センター
境垣内 岳雄 氏
 南西諸島での飼料増産に向けて、製糖用品種とサトウキビ野生種との交雑により、高い収量性と耐病性を合わせ持つ飼料用サトウキビ3品種を育成しました。更に、年2回収穫という新発想で、多収かつ収穫作業性の高い栽培体系を構築し、育成品種の普及に繋げました。なお、飼料用サトウキビは、製糖用サトウキビの育種素材としても活用されています。
遺伝子組換えカイコの作出および産業利用の高度化
坪田 拓也
農研機構 生物機能利用研究部門
坪田 拓也 氏
 カイコの産業利用をさらに拡大するため、遺伝子組換えカイコ作出技術の高度化に取り組み、新規プロモーターの特定による組換えカイコの簡便な判別および高効率での遺伝子挿入を可能とする技術を開発しました。また、カイコ絹糸腺での遺伝子発現制御機構を明らかにし、組換えカイコによる有用物質生産の効率化に貢献しました。
養豚排水の窒素低減に関する技術開発
長谷川 輝明
千葉県畜産総合研究センター
長谷川 輝明 氏
 養豚場等の排水から生じる環境汚染や人への健康被害防止のため、硫黄酸化脱窒細菌による硝酸性窒素の除去技術に着目し、土木用タンクを転用するなど簡易で低コストでありながら、硝酸性窒素の処理能力が高く、実用性の高い処理システムを開発しました。本システムは、水質環境基準の規制強化に苦慮する養豚農家等への普及が大いに期待されます。
花きにおけるゲノム育種基盤の構築とその利用
八木 雅史
農研機構 野菜花き研究部門
八木 雅史 氏
 カーネーションにおいて多数のDNAマーカーを配置した遺伝子地図および全ゲノム情報を整備し、DNAマーカーを利用した萎凋細菌病抵抗性品種「花恋ルージュ」を育成しました。更に、これらのゲノム解析技術をアジサイなどの花きに展開しており、今後は、日持ち性、早晩性、その他病害抵抗性等の新たな特性を有する品種の開発が期待されます。

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