2017年10月4日(水)~6日(金)
10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト東7ホール
主催:農林水産省
COMMENDATION表彰
平成29年度(第18回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰
農林水産業その他関連産業に関する研究開発に関して優れた功績をあげた民間企業や農林漁業者に対して、農林水産大臣賞、農林水産技術会議会長賞、JATAFF会長賞を授与するとともに、農林水産大臣賞受賞者による受賞講演を実施します。【M110 12:50~14:05】
【農林水産大臣賞】

「甘藷メリクロン苗供給システム確立等による甘藷農業の6次産業化」

農業生産法人アネット(有)

尾曲 修二 氏

 甘藷品種ごとに異なるメリクロン培養条件及び母株保存条件の最適化等、ウイルスフリーのメリクロン苗の低コスト安定生産・供給システムの基盤技術を開発した。現在、約50品種の甘藷メリクロン苗を販売している。さらには苗の販売だけではなく、甘藷をベースとした加工食品等も開発しており、6次産業化にも積極的に取り組んでいる。
【農林水産技術会議会長賞】(民間企業部門)

「道産アスパラガスからの機能性食品ETASの開発と販売網の構築」

(株)アミノアップ化学 代表

小砂 憲一 氏

 これまで大部分が廃棄されていたアスパラガス茎の切れ端から、機能性食品素材であるETASを開発するとともに、ヒト介入試験において、ETASが自律神経のバランスを調節し、睡眠の質を改善することを明らかにした。現在、北海道産のアスパラガスから製造したETAS配合の製品が販売されており、国内外で販売網を構築した。

「腕上げ作業補助器具“腕楽っく”の商品化」

【左】(株)ニッカリ 保田 将史 氏 【右】元(株)ニッカリ 大西 久雄 氏

 ブドウ、ナシなどの棚果樹栽培においては、腕を上げた状態で長時間の作業を行わなければならないことから、作業者の負担を軽減するため、腕上げ作業を補助する器具を開発した。本機は、動力を必要とせず、1.8kgと軽量で、任意の高さで腕を支えることができる。農業分野だけではなく、腕を上げた状態での作業が想定される造船、電力、建築等他産業への適用も可能である。

「干ばつ常襲地帯に適したさとうきび農林23号の選定と普及拡大」

与論島製糖(株)

光 富広 氏

 鹿児島県育種委員会の委員として品種開発に関わる過程で、優れた耐干性と多収性を持つサトウキビ育成系統を見出し、その奨励品種決定試験の実施をけん引し、「農林23号」としての品種登録を支えた。品種登録後はその普及活動にも努め、当該品種の収穫面積は鹿児島県全体では約2割、また、与論島では6割にも達し、サトウキビ生産の安定を通じて離島経済の活性化に大きく貢献した。
【農林水産技術会議会長賞】(農林漁業者部門)

「スイートピーオリジナル品種の育成」

農業自営

河野 正敏 氏

 市販品種を自然交配して得られた優良個体を選抜し、純白色の「ロイヤルホワイト」と淡ピンク色の「ロイヤルチェリー」のスイートピー品種を育成した。高品質かつ多収であることから、地元産地で主力品種として定着している。家庭用のみならずブライダル等の業務用での評価も高く、また、海外でも人気があり輸出も増加している。
【公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会会長賞】

「地域活性化に資する農村地域資源管理システム「VIMS」の開発」

(株)イマジックデザイン

【左から】進藤 圭二 氏、友松 貴志 氏、畠山 顕 氏

(株)ソニックビジョンクリエイト

【左から】杠 公右 氏、庄 直樹 氏

 インターネットを使って地域資源の情報を入力・共有でき、地域活性化に向けた農村計画策定を支援する地域資源管理システム(VIMS)を開発した。本システムは、農地や水利施設の管理情報だけでなく、景観・文化等の地域資源情報も分かりやすく表示することが可能で、住民参加を伴う地域資源保全活動や地域活性化計画の策定及び合意形成、災害復興関連の農地整備事業等において活用された。
平成29年度(第13回)若手農林水産研究者表彰
農林水産業その他関連産業に関する研究開発に関して優れた功績をあげた若手研究者に対して、農林水産技術会議会長賞を授与するとともに、受賞者による受賞講演を実施します。【M116 14:15~15:10】

「砂漠化抑制と収量増加をともに実現する省力的技術の開発」

(国研)国際農林水産業研究センター

伊ヶ崎 健大 氏

 砂漠化と慢性的な食糧不足に苦しむ西アフリカにおいて、砂漠化のメカニズムを明らかにするとともに、その知見に基づき、現地の人々が容易に実施でき、かつ砂漠化の抑制と作物収量の増加を同時に実現する省力的技術「耕地内休閑システム」を開発した。さらに、「耕地内休閑システム」の効率的な普及方法についても明らかにした。

「食品の有効な摂取に向けた体内時計調節に関する研究」

(国研) 農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門

大池 秀明 氏

 ポリフェノール、カフェイン、食塩などの食品成分で体内時計が調節できることを証明した。また、朝食による体内時計のリセットに栄養バランスが重要であることや、不規則な食生活で肥満が誘発されることを動物モデル等で示し、健康増進を実現するための新たな研究開発分野を開拓した。

「ナシとリンゴの省力栽培形質に関するDNAマーカーの開発」

(国研) 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門

岡田 和馬 氏

 果樹生産は担い手不足が深刻であり、省力栽培に適した新品種が切望されている。そこで、ナシでは人工受粉を省力化できる自家和合性個体を、リンゴではせん定等を省力化できるカラムナータイプ(円柱状)の樹形を示す個体を、幼苗段階で正確に選抜できるDNAマーカーを開発した。これにより、省力栽培向け品種開発が加速した。

「乳酸菌オリゴDNAを腸まで届ける経口用ナノカプセルの開発」

(国)信州大学

下里 剛士 氏

 乳酸菌由来のオリゴDNA(DNA短鎖)は、優れた免疫調整作用を有するが、胃酸で分解されるため、注射器で投与されてきた。胃液に溶けず腸まで届く「DNAナノカプセル」を開発し、オリゴDNAの経口摂取が可能となり、今後、乳酸菌オリゴDNAを有効成分とする家畜飼料や機能性食品の開発が期待される。

「TMRセンターを核とした地域飼料流通利用システムの開発」

秋田県畜産試験場

渡邊 潤 氏

 「地域」を一つの生産経営体ととらえ、地域内で生産される自給飼料や発生する食品製造副産物を資源利用した混合飼料の製造・供給を行う「牛の給食センター(TMRセンター)」を運用していくためのシステム及び技術開発を行った。開発した技術は民間企業へ技術移転され、秋田県初のTMRセンターの設立など、実際の現場で活用されている。